SIGGRAPH 2005レポート
CGグランプリ事務局 八文字俊裕 ーーー(05.8.14記)
アメリカ コンピュータ学会(ACM)のCG(コンピュータ・グラフィックス)の国際大会SIGGRAPH2005は、1974年の第1回大会から数えて32回目の大会を、カリフォルニア州ロサンゼルス市で開催した。
世界的に高名な映画監督、プロデューサー、シナリオライターが8月1日(月) 基調講演
題名 "ジョージ・ルーカス、デジタル・シネマの父のQ&A"
今年のSIGGRAPHの最大の目玉は大会2日目に行われたジョージ・ルーカス氏の基調講演だった。各々3000人収容のウエストホールAと Bを同時に使って行われた今年の基調講演はびっしり満席となった。ルーカス氏が登場したのはホールAでこちらに入場できたのはフルコース・パスの所持者だけ、プレスパス所持のわれわれもかろうじて生のスピーチを聞くことが出来た。わたしは長いことマスコミ人生を歩んできた訳だがルーカス氏の生音声は始めてだった。
デジタルシネマの父と言われるゆえんは他ならぬ、スターウォーズ物語やインディー・ジョーズシリーズの爆発的なヒットが社会現象とまでになり、切れ目のない当たりをとって今日迄続いており、しかも早くからデジタル化による効率的な映画作りという彼の映画作りの先見性にあった。
今回のSIGGRAPHの基調講演でルーカス氏は、真っ先にご自身を"ストーリー・テラー"つまり物語作家と名乗っていた。これは彼が『黒澤明監督が映画はいかに虚構の世界を信じさせるかが重要と述べていたことに影響された』為と言う。また『映画作りは見る人のハートに訴える物語をいかに作ることができるかが一番大事なこと』と述べた。
次に彼は『近い将来、人工生命分野の発達が進みテクノロジー特にゲームの世界では大きな変化があるかも知れない。ゲーム機との対話シーンなど、これは私が取りかかろうとしているテレビ映画ずくりそのものである。デズニー産業がやっているような幻想の世界をILM(ルーカス氏映画スタジオ)が大掛かりに取入れることはしない』と述べた。
実は彼はSIGGRAPHへ1984年に初参加しているがその折、『SIGGRAPHは私に、デジタルアートとはなんぞや、と質問しないはじめての団体だ』と感想を残している。今回のように基調講演という役はSIGGRAPH初体験だった。
『自分はコンピュータ人間では無いが、自分の改革への追求は完璧なるリアリティに対する追求であり、どうして真実を造るか、どうやったら完璧なるリアリティが得れるかという点がいかに大事か』を聴衆に強調していた。
大会当局によると、このジョージ・ルーカス氏の登場[写真]で今年のSIGGRAPH入場者数は29,122人を記録した。
これは昨年の27,825人をかなり上回る数字である。
○SIGGRAPH2005大会概要
大 会 名 SIGGRAPH 2005 /32th International Conference on Computer Graphics and Interactive Techniques
大会議長 SIGGRAPH 2005 Conference Chair James L. Mohler, Purdue University
日 程 2005年7月31日(日) -8月4日(木)
場 所 ロサンゼルス (Los Angeles, California USA)
会 場 Los Angeles Convention Center and hotels in the downtown
詳細は [http://www.siggraph.org/s2005/]
以 上